専業主婦になりたくても、なれない時代
近年は共働きが増加しています。1990年代には専業主婦世帯が当たり前でしたが、2000年以降には共働き世帯数が専業主婦世帯数を逆転し、約7割の世帯が共働き世帯となっています。

(出典:労働政策研究・研修機構「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」)
果たして専業主婦志向の人は減少したのでしょうか。実際は、そうではありません。
ソニー生命の地調査においては、働いている女性の3人に1人が「本当は専業主婦になりたい」と考えているようです。

(
出典:ソニー生命「女性の活躍に関する意識調査2019」)
「専業主婦になりたい」という志向は、いつから芽生えるのでしょうか。
to be free症候群
就職活動中に芽生える、専業主婦への想い
私も大学4年生の就活の時に、周りに「専業主婦になりたい」と打ち明ける女性が多く、驚いた記憶があります。
私自身は特にバリキャリ志向ではありませんでしたが、なんとなく働き続けることを前提に考えていました。また、世の中的には頭が良いとされる大学だったので、「専業主婦志望なら、偏差値の高い大学に行かなくてもよいのではないか?」という驚きもありました。
ただ話を聞いてみると、「良い結婚相手を探すために、大学に来た」という回答が返ってきたので、納得しました。
また、「ただ真面目に勉強していたら大学に受かっただけ。『良い大学=働きたい』という訳ではない」という人も多かったです。確かに勉強は個人の努力で全て簡潔しますが、仕事は他者の評価で決まったり、競争も激しかったりするので、その点において「自分には仕事無理」と思うようです。
ただ、相手がかなり年上ではない限り、大学卒業後すぐに結婚する人は少なく、一旦数年働くことを選択することになります、
専業主婦になるのは至難の業
20代後半~30代になると、仕事に翻弄される機会も増え、「専業主婦になって自由になりたい」という人はかなり増加します。
私は、この「とにかく仕事が嫌だ!専業主婦になって自由になりたい!」という状態を、「to be free症候群」と呼んでいます。
to be free症候群の人の口癖が、
です。
先程述べたように学生時代の時から元々専業主婦志向だった人は理解できるのですが、そうでなく働く気が合った人も、このパワーワードを言い始めます。
確かに20代のポジションは仕事で下っ端なので、辛いこともあります。新人の時は「わー」と仕事に追われて早く過ぎ去ります。
そして20代後半に入り、新人ではなくなった時や部下ができたとき、「こんな仕事やりたいわけじゃない」とto be frees症候群を発症し始めます。
ただ、「専業主婦になりたい!」と思った所ですぐなれるわけではなく、実際には2つのハードルが立ちはだかります。
- 結婚できるか
- 専業主婦になれるか
20後半~30代になると、to be free症候群の人の中には、婚活に病んだり、彼氏が居ても「結婚してくれない」で病む人が増加してきます。自分の想定ルートである「専業主婦」の最初のハードルを越えられないのですから、当然病みます。
また、例え結婚が視野に入ったとしても、専業主婦になれるハードルは更に高いです。現代の独身男性の平均年収は約400万円前後です。先程の調査で共働き世帯の3分の1は「本当は専業主婦になりたい」と思っていることが、ハードルの高さを物語っています。
自由とは
なんとか結婚や旦那さんの承諾というハードルを越え、念願の専業主婦になれたとします。果たして、to be free症候群の人の認識通り、「専業主婦=自由」なのでしょうか。
時間は自由
確かに、会社員に比べれば時間は自由ですよね。子供がいない専業主婦の場合は、時間的にはかなり余裕があります。
子育て家庭の専業主婦で保育園に子供を預けていない場合はかなり忙しいですが、自分の裁量で手順を考えられる点では、専業主婦は自由といえるかもしれません。
主導権は旦那さんが握る
専業主婦は稼ぎがないので、旦那さんの収入に頼ることになり、自ずと旦那さんが主導権を握ることになります。
という人がいます。
確かにそのような試算もあり、家事・育児が価値ある働きであることには間違いないのですが、実際に収入は発生しないことが悲しい現実です。
金持ちの家であれば出費について旦那さんもあれこれ言わないと思いますが、近年のサラリーマンの年収は停滞気味ということもあり、好き勝手散財できる家庭はレアです。
「なにかを買うときに許可を得る」という生活が今後永続することに、耐えられるでしょうか。また、旦那さんに主導権を握られる家庭が、理想の家庭でしょうか。
計画な資産管理ができる関係を築けるか
AIかが進む中で「安定的な仕事」はない時代です。また、年金も期待できないため、貯蓄を意識して、資産管理をすることが必須です。
専業主婦家庭は意外に資産管理が難しい
以前は、「共働きは資産管理ができない」ということが定説でした。共働きは生活費を折半した後、残りはお互いに好きな勝手にを使ってしまうと考えられていたからです。
しかし、最近は状況は変化しています。周りの20-30代を見る限り、日々働く中で労働市場の不透明さを実感しているからか、共働きにおいては節約家庭が増えてきています。
専業主婦家庭は収入の流れが旦那さん1つのため、資産管理がシンプルに見えますが、意外に難しいです。
なぜなら、下記の通りお互いに不可侵領域を持っているからです。
- 奥さん=家事・育児
- 旦那さん=仕事
奥さんは家事・育児を全て担っているため、旦那さんは「何も家のことやっていないしな…」という引け目があります。よって、奥さんから家電などの生活用品の要望があると、買ってしまう傾向にあります。
また、旦那さんは収入を全て担っているため、奥さんは「私は稼いでいないにしな…」という引け目があります。よって、旦那さんが趣味で高額の商品を購入していても、口出しできない傾向にあります。
また、パワーバランスが旦那さんに偏りやすい点も、資産管理を難しくしています。旦那さんが節約に積極的であれば、奥さんも協力しやすいですが、逆だと困難です。
奥さんが収入ゼロという立場で、果たして旦那さんに「もっと節約しろ」と言えるかどうか。勿論そのような家庭もあると思いますが、共働きに比べると、専業主婦の方は旦那さんに資産管理について意見を言いにくいかもしれません。
さいごに
もちろん保育園に入れない等不可避な状況はしょうがないのですが、「to be free症候群」で仕事を辞め、専業主婦を選択するのはオススメできません。
という人も多いです。
確かに10年とかのブランクを経て復帰することは可能ですが、医者などのスペシャルカードがない限りは、ゼロからのスタートになります。下積み時代が嫌で専業主婦を選んだのに、また下積み時代に戻るのはキツくありませんか?
それならば、20-30代でもう少し踏ん張った方が良い未来が待っているのではないでしょうか。20代で嫌々やっている仕事であっても、30代になれば裁量権ができるので、「やらされる感」はなくなります。
また、若くて年収も低いので、転職もしやすいです。転職したら、仕事が楽しいとはいかずとも、継続できる程度に「気に入った仕事」に就ける可能性は十分にあります。
仕事嫌だ、専業主婦になって自由になりたい!という「to be free症候群」の人は、仕事を辞める前に、今一度「本当に自分の求める自由が、専業主婦の中に存在するのか」を考えてみてはいかがでしょうか。
こんな記事もあります。
婚活は費用対効果も悪く、ストレスが溜まります。疲れたら一旦一休みして、自分の年収UPにシフトしてみてはいかがでしょうか。

ALL事務職で年収UPは至難の業です。一旦総合職のキャリアを挟む、「サンドイッチ事務職」によって年収UPを目指したいです。

